経理代行事業のTFPグループ代表兼CEO
岩佐孝彦@税理士です。
高市総理が先日、
日銀の植田総裁と会談した際、
「早期の追加利上げ」
に難色を示したとか。
企業の借入にブレーキをかけ、
住宅ローン金利の上昇が
個人消費にマイナス影響をもたらす。
そんな懸念が背景にあるようです。
3月の年度末に向けて、
金融機関が融資営業を強化する中で、
この報道はオーナー経営者にとって、
朗報かもしれません。
ただ経営者がお金を借りたい時と
銀行がお金を貸したい時は、
基本的に一致せず。
経営者としては、
▼業績が悪化
▼債務超過に陥りそう
▼当面の支払いが心配
という時にお金を借りたい。
銀行としては、
▼業績が好調
▼自己資本比率20%以上
▼他行が「借りてくれ」と
言っている
という時にお金を貸したい。
両者の思惑にズレがあるがゆえに、
「借りられる時に借りておく」
ことの有用性が説かれますが、、、、
今日の金利上昇の局面では、
そうも言っていられない。
銀行と賢く付き合うには、
どうすべきか??
経営者の使命として、
“時流適応”
が今求められているのです。
稲盛和夫氏がかつて提唱した、
「土俵の真ん中で相撲を取る経営」
を数値化すれば、
▼手持ち預金
⇒ 平均月商の3ヶ月以上
を示します。
銀行員は経営者に対し、
「月商の2ヶ月分あれば、
十分ですよ」
とよく言いますが、、、
100%鵜呑みにするのは危険です。
資金があまりに潤沢な企業では、
お金を借りてくれないので、
半分営業トークであると
考えるべきでしょう。
資金繰りのストレスフリーとは、
【平均月商の3ヶ月分】
が最低の目安です。
多くの企業では、
【平均月商=1ヶ月分の総支払額】
を示しています。
ただ業種によって、
考え方は異なります。
平均月商ではなく、
【固定費の〇ヶ月分】
と考えてよいのは、
▼不動産賃貸業
▼建設業
▼自動車販売業
など。
毎月一定の変動費(仕入・外注費)の
支払いが無く、
売上の入金と変動費の支払いが
一致している業種のみ。
まずは現在の手持ち預金が、
▼平均月商の3ヶ月
▼固定費の3ヶ月
以上をクリアしているか?
これを第一目標として下さい。
年度末に向けて、
1年後のキャッシュフロー面の
理想の財務目標をズバリ言いましょう。
▼1年後の現預金
⇒ 月商×3
(平均月商の3ヶ月分)
▼流動性預金
(現預金+売掛金+棚卸資産)
⇒ 月商×4
(平均月商の4ヶ月分)
注)定期預金は除く
▼銀行借入返済額(年間ベース)
⇒ 月商×1
(平均月商の1ヶ月分)
キャッシュフローとして、
【4ー1=3】
を目指すということ。
1年後の決算書上、
月商の4ヶ月分の現預金にしつつ、
借入の年間返済額を月商1ヶ月分へ。
結果、1年後の現預金は、
月商の3ヶ月分となります。
これが難しければ、
【3-1=2】
でもOKです。
この姿が実現すれば、
「この先1年間の利益ゼロ」
となっても資金繰りの心配なし。
利益ゼロと言っても、
「税引後利益+減価償却費」
がプラスになれば、
その分だけ現預金も増えます。
借入を一本化する。
運転資金の返済年数を
最大限長くする。
定期預金の解約に動く。
こうした経営努力によって、
上記の理想形を目指してほしいのです。
以上の思考法で
財務戦略を進めれば、
資金繰りがシンプルになります。
社長業というのは、
“夢とロマンと資金繰り”
と言われますが、
資金繰りのストレスから
もし解放できれば、
本業を伸ばすことに
より集中できます。
結果、善循環でビジネスが成長へ。
逆に金策に追われ、
余計なストレスを抱え込むと、
社長の思考能力が大幅に減退し、
負の連鎖でますます経営悪化へ。
中小企業の一番の資産は、
“経営者&社員のメンタルの
安心・安全・安定”
です。
ストレスフリーな状態を
いかに作るのか?
経営者として常に意識すべし。
経営者の時流適応として、
人件費の高騰に加え、
【金利の上昇】
にも賢く対応しなければならない。
短絡的に、
「借りられるうちに借りておく」
というイケイケはよくないですし、
「借金はあまりしたくないな」
という感情論もよくありません。
オーナー経営者の自社株対策として、
「銀行借入依存型の
ホールディングス設立」
なども推奨できません。
経営者たる者、
銀行と戦略的に付き合うべし。
今日も社長業を楽しみましょう。