こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループの

税理士法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。

前回のお話の続きです。

 

『血は水よりも濃い』

この言葉のシンボルは税務の世界では、

 

▼自社株(=出資持分)

 

でしょう。

それがゆえに相続税や贈与税の問題が付きまといます。

そこで、政府も重い腰を近年上げました。

 

▼平成21年創設

非上場株式の納税猶予制度

▼平成26年創設

医業継続にかかる納税猶予制度

 

 

つまり、一般事業法人にも医療法人にも
優遇税制が新たにできたのです。

しかし、上記の制度にはデメリットもありました。

その結果、

 

▼平成21年創設~平成28年3月
までの経済産業大臣の認定件数

*贈与税626件

*相続税894件

 

▼平成26年10月~平成28年9月
までの厚生労働大臣の認定件数

* 認定を受けた医療法人  61件

* 持分放棄が完了した法人 13件

 

という数字にとどまっている。

そんな問題が浮き彫りになっています。

せっかくの優遇税制もほとんど活用されていなかったのです。

この後、

 

▼新事業承継税制 ⇒ 平成30年創設

▼医業継続のための納税猶予制度

⇒ 平成29年10月1日~
平成32年9月30日まで3年間延長

 

このように要件を緩和したうえで、
新たな施策が打ち出されました。

実は、平成19年4月1日より前に設立された医療法人の

理事長先生に今こんな決断が求められています。

 

「納税猶予制度を活用し、

【持分なし型】に移行するか?

それとも、
現状の【持分あり型】のままでいくか?」

 

 

ここで厚生労働省の調査データを紹介しましょう。

全国の医療法人(持分あり型)の理事長先生に対するアンケートです。

回答数1058件の結果は以下の通り。

 

……………………………………………………

▼Q.納税猶予制度を活用し、
持分を放棄する意向はあるか?

▼A.考えていない 62%

▼その理由

*出資持分はオーナーシップの源泉であり、
放棄できないから

*相続税を支払っても、
医療法人を子孫に承継させたいから

……………………………………………………

 

 

国がいくら法整備を進めても、デメリットが少なからず存在する以上、
納税猶予制度を活用し、持分は放棄できない。

なぜなら、

 

『出資持分 = オーナーシップの源泉』

 

であるからだ。

医療法人の理事長先生の多くがそう考えているのです。

 

 

株主分散は『たわけ者 = 田分け者』といわれます。

赤の他人の手に自社株(=出資持分)が渡る。

こうした現象は、安定経営を脅かすことになりかねない。

そんな教えでもあります。

 

▼資産管理会社設立

▼吸収合併

▼株式交換

 

このような手法でグループ法人間で、

事業の切り貼りや資産移転を行う場合、

100%グループ内であれば、一定の要件の下で、

 

 

▼グループ法人税制の適用

⇒ 資産の譲渡損益の繰延べ計上OK

⇒ 当面は譲渡損益ゼロOK

 

▼適格要件

⇒ 資産の譲渡損益ゼロOK

⇒ 繰越欠損金の引継ぎOK

 

 

といった税制メリットが得られます。

もし100%のグループ経営が展開されていなければ、

上記の税制メリットが得られない場合あり。

十分注意を払って下さい。

 

 

▼安定経営

▼組織再編

 

をスムーズに展開するうえでも、

 

 

『血は水よりも濃い』

 

 

に基づき、自社株(=出資持分)対策を
忠実に実行すべし。

そのように肝に銘じてほしいと思います。

 

 

セゾングループの総帥として、時代の寵児となった堤清二氏。

彼には終生忘れることのできなかった光景があったとか。

1938年、父・康次郎氏は海運業で巨万の富を築き、

 

“成金”

 

の代名詞となった成瀬正行氏が東京麻布に築いた、

3000坪の大邸宅を買い取る。

この豪奢な洋館を総理大臣に別邸として貸し出す。

夜毎、政界関係者や軍関係者を招いては宴席を持った。

政財界や軍部の大物たちはいつしかこの洋館を

 

『大東亜迎賓館』

 

と呼ぶようになったとか。

しかし、太平洋戦争の戦局が悪化した昭和20年の大空襲で、

この豪邸も業火に包まれる。

当時18歳の清二氏の目には、
この世の終わりに見えたそうです。

ガラスの割れる音。

梁がけたたましい音と共に落ち、火の粉がまき散らされる。

悲鳴、怒号、逃げ惑う人々。

清二氏は父の夢が崩れ落ちる様を見続けたとか。

 

 

その時だった!!

被災した人々が門から堤家の敷地に
入ってこようとしているのを見つけ、

父・康次郎氏が大声で叫んだ。

 

 

「一歩も入れてはいかん! 外に叩き出せ!」

 

 

そう部下に命じ、怒鳴っていた。

呆然とその光景を見る清二氏に
父は振り返って、こう言ったそうです。

……………………………………………………

財産を守るということは、
こういうことだ。

一歩でも入れたら、
住み着いてしまうんだ。

……………………………………………………

被災した人々を追い返すことまでして、財産を守ろうとした。

そんな父の姿と形相は、終生忘れることができない。

晩年、清二氏はこう述懐しておられます。
 

財産を【守る】というより【守り抜く】。

そういった表現が適切かもしれません。

西武王国の礎を築いた堤康次郎氏。

 

 

「一歩も入れてはいかん! 外に叩き出せ!」

 

 

一見、理不尽で非情な怒号に聞こえます。

しかし、彼の資産保全&資産防衛に対する、
とてつもない覚悟が読み取れます。

▼経営者として

▼創業家として

▼家長として

 

色んな思いを抱えながら、
堤康次郎氏は必死で守ろうとした。

85歳の老人となった清二氏は、
インタビューでこう答えています。

……………………………………………………

昔はあんなに反抗していたけど、
きっと親父もつらかっただろう。

女性問題についても、
今は受け入れられるようになった。

父が命をかけたんですよ。

何だかんだと、批判はされました。

罵倒もされました。

本当に色んなことを言われたけど、
父は命をかけたんですよ。

それを息子は守ってやりたいと
思うんですよ。

……………………………………………………

お金は稼ぐより守る方が難しい。

一定水準以上のレベルで稼ぐ経営者が異口同音に言う言葉です。

 

『守る』とは一体どういうことなのか?

 

私(岩佐)自身も、税理士として、経営者として、
一家の主として、今一度かみしめたいと思います。

今日も社長業を楽しみましょう。

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