こんにちは、JR大阪駅前の税理士法人&
経理代行事業のTFPグループ代表兼CEO
岩佐孝彦@税理士です。
長年ビジネスをしていると、
棚ぼたで儲かることがある。
ビール業界では今年度、
▼キリンHD
▼サッポロHD
の2社の純利益が前期対比2.5倍へ。
この背景には、
「アサヒのシステム障害」
による代替需要がありました。
競合他社が
サイバー攻撃の被害に遭った。
その結果、
同業他社に需要が流れた。
キリンとサッポロにとっては、
嬉しい誤算だったでしょう。
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勝ちに不思議な勝ちあり。
負けに不思議の負けなし。
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江戸後期の
平戸藩主・松浦靜山の遺訓。
野村克也氏の座右の銘として、
有名ですね。
勝利には運のもたらす偶然あり。
しかし敗北には必ず理由があり、
その結果は総じて必然である。
ただ棚ぼたで儲かると、
オーナー経営者の心に
スキが生まれやすい。
つい調子に乗って、
高級外車を買ってしまう、、、
なんてことに
注意しなければなりません。
“4年落ち中古のベンツ節税神話”
がありますが、注意が必要です。
厳密には、
3年10ヶ月落ちの中古車であれば、
法定耐用年数2年で、
定率法により1年で経費化OK。
しかし決算期末の駆け込みで、
経営者自身の今期好調の
ご褒美で購入しても、
税効果は極めて限定的です。
なぜなら減価償却費として、
「月割計算」
となるからです。
期首での購入でなければ、
税効果を享受できません。
経営的に語れば、
宇野康秀氏が藤田晋氏に対し、
創業時に投げかけた言葉が有名です。
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フェラーリと馬は買うな
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この言葉は過度な贅沢によって、
経営者の気が緩み、
本業から心が離れるリスクに
警鐘を鳴らしています。
ただ宇野康秀氏の言葉だからこそ、
深みがある。
個人的にこう考えています。
宇野氏の経営者人生は、
浮き沈みが激しい。
▼インテリジェンス
▼大阪有線放送社
▼U-NEXT
の3社を上場させる。
しかしリーマンショック後の
財務悪化を受け、
金融機関と軋轢が生まれ、
社長追放。
宇野康秀氏の父、
宇野元忠氏も名経営者でした。
社員1万人、売上800億円。
大阪有線放送社の創業者。
しかし宇野康秀氏は、
父の後を継ぐ気は全くなく、
自分でインテリジェンスを創業。
その際、父(元忠)から、
「勘当だ」
と言われ、
父が病床に就くまで
口を利かなかった。
大阪有線放送社の後継者は、
2つ上の兄(康彦氏)が
既定路線だった。
しかし兄は高級店に出入りし、
華美を好んだ。
周囲から次期社長として
チヤホヤされるため、
人が良すぎる面もあり、
頼まれては
友人や知人を雇い入れた。
しかし雇い入れた社員の
出来は決してよくなかった。
仕事ができないばかりか、
中には若い女性と
姿を消してしまう者もいた。
兄(康彦)は社長室に呼ばれ、
厳しく叱責される日々。
父(元忠)が後継者として
選んだのは弟(康秀)。
インテリジェンスを創業し、
上場直前にまで育て上げた。
その経営手腕を見込んだのです。
63歳で末期の前立腺がんで
余命3ヶ月と診断され、
大阪・中之島の住友病院の
特別室を訪ねた時、
康秀に対し、
「会社を継いでほしいんや」
と父は懇願する。
頑なに固辞する次男の康秀。
長男の康彦は父に詰め寄る。
「なんで僕じゃないんですか?
どうしてあいつが
社長なんですか?
それなら会社を東西に分けて、
西を僕に任せて下さい!」
しかし父は諭すように
淡々とした調子で言った。
「お前じゃ、あかんのや。
会社はやっていけへん。」
帰りの新幹線で、
康秀は冷静に考えた。
「自分が継がなければ、
会社は崩壊するだろう。
自分がやるしかない。
身内である自分が
引き継がなければならない。」
当時の大阪有線放送社には
800億円の負債があり、
違法に全国に張り巡らされた
自社ケーブルの電柱720万本。
民法上は違法だが、
強制撤去するには
相当煩雑な行政手続きが
必要なため、見逃され続けてきた。
それによって経営が成り立ち、
1万人以上の雇用がされてきた。
こうした後始末を父の死後、
陣頭指揮を執り、
「社員たちが可哀そうです。
社長、もうやめましょう。」
と現場から懇願されても、
ある社員から社長自宅に
血まみれの藁人形を
送りつけられても、
わずか1年で難題を解決へ。
その後、見事に上場を果たす。
しかしリーマンショック後、
グループ全体の株価が急落。
結果として、
1,000億円以上の損失を計上。
事業を次々と売却へ。
ただ唯一買い手が見つからず、
手元に残った事業が、
U-NEXTのサービスだった。
この事業をMBOで
経営者として買収し、
3年後に上場へ。
どん底から這い上がる
もの凄いエネルギー。
宇野康秀氏は、
大阪道頓堀で育ち、
「〇〇さんの店が倒産した」
「あの××さんが夜逃げした」
「△△さんがこの前、
借金を返せへんと自殺した」
など近所の噂話を
いつも聞かされていたとか。
だから物心ついた頃から
経営は苦しいものだと
無意識で心得ていた。
マゾじゃないですが、
どこか苦境を楽しんでいる
自分もいたとか。
こんな海千山千の
名経営者の言葉だからこそ、
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フェラーリと馬は買うな
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に深みがあるのです。
棚ぼたで儲かった時の
決算対策は熟考すべし。
今日も社長業を楽しみましょう。