こんにちは、JR大阪駅前の税理士法人&
経理代行事業のTFPグループ代表兼CEO
岩佐孝彦@税理士です。
資生堂が過去最大の赤字へ。
2025年12月期の連結最終損益が
520億円の赤字になるとか。
当初は、60億円の黒字でしたが、、、
これで2期連続の
赤字となりました。
名門ブランド資生堂がなぜ??
その要因はズバリ、
「M&Aの失敗」
です。
2019年に買収した
スキンケアブランドの
「ドランク・エレファント」
の不振による減損が主因です。
M&A失敗で
減損を迫られるのは、
今回が初めてではありません。
2010年に買収した
「ベアエッセンシャル」
も販売不振により、
2017年12月期に
700億円の減損を計上。
資生堂は世界展開に向けて、
M&Aを成長戦略に
据えていましたが、
「過去の教訓を
生かせなかった」
と経済アナリストは
見ているそうです。
M&Aの成功は
本当に難しいです。
今回は
【買い手】
の立場でお話しますね。
私(岩佐)はこれまで、
数えきれないほどの
M&A(買収)の
相談を受けましたが、
大切なのは、
以下の3点です。
▼財務の視点
M&Aに失敗しても、
致命傷を負わないか?
▼シナジーの視点
敢えて会社を買わなくても、
ゼロから事業を
立ち上げられるか?
▼No.2の視点
買収した企業の
経営を担える
幹部を派遣できるか?
財務の視点では、
【債務償還年数】
を見なければなりません。
買収資金を仮に
銀行融資で賄った場合、
相手企業の既往借入と合わせ、
何年で返せるのか?
ここで重要なのは、
「悲観的に試算する」
ことです。
買収後に相手企業が
生み出すであろう利益は、
「無い」
ものとして計算すべし。
相手企業から、
「我が社を買ってほしい」
とラブコールを受け、
惚れられると、
経営者の多くは
舞い上がってしまいます。
しかし冷静に判断を!
M&A仲介会社の
セールストークにも注意!!
M&Aで失敗したら、
致命傷を負うようでは、
経営者失格です。
M&Aがうまくいかなくても、
屋台骨に致命傷を負わない。
仮に大きな傷を作っても、
キャッシュフローを
回すことを意識すべし。
M&Aにおいては特に、
「悲観的に準備し、
楽観的に行動する」
ことが求められます。
M&Aで失敗する
経営者を見ると、
「豊臣秀吉の朝鮮出兵」
を思い起こします。
1590年に小田原の北条氏を征服し、
全国統一を成し遂げる。
その後、1592年と1597年に
朝鮮に侵略軍を派遣へ。
もし朝鮮出兵が無ければ、、、
豊臣政権はもっと
長続きしていた??
歴史家からそんなふうに
言われていますね。
朝鮮出兵の理由としては、
【拡大の原理】
です。
戦争で勝って領土を獲得し、
配下の武士に与える。
だからこそ、
武士たちは主君についていく。
全国統一し、
秀吉の力が強大化する中で、
どんどん増え続ける家臣に対する
求心力を維持するには、
領地をとにかく
分け与える必要があります。
家臣団がさらに膨らむなら、
新しい領地を
獲得せねばなりません。
ただこうした拡大思考による
M&Aには
慎重を期すべきでしょう。
会社買収をするなら、
絶対に使うべき優遇税制あり!
【中小企業事業再編
投資損失準備金】
です。
▼1回目の買収
⇒ 買収額の90%損金計上
▼2回目の買収
⇒ 買収額の100%損金計上
▼準備金の据置期間
⇒ 10年
▼10年経過後、
10年間にわたり均等取崩
⇒ 毎期益金算入
▼買収金額の上限
⇒ 10億円
要約すると次の通りです。
買収額10億円と想定します。
買収初年度にいったん
9億円の損金計上OK。
(会計上は費用ではなく、準備金)
その後10年経過後に、
9,000万円ずつ
10年間にわたり益金算入へ。
永久的に損金計上が
認められる訳ではありませんが、
一昔前は資産計上で、
何ら損金性が無かった買収額に、
当初10年間は、
大きな損金性が得られる。
これは画期的な税制です。
裏を返せば、
こんな税制が存在するのは、
それだけM&Aは
リスク満載ということですが、、、
なお、
この優遇税制を受けるには、
【経営力向上計画の認定】
を経産省から受けておく必要あり。
くれぐれもご注意ください。
失敗に終わった朝鮮出兵の中で、
有名な逸話として、
「加藤清正の虎退治」
があります。
虎に家臣を惨殺されたと聞くや、
清正は虎を一騎打ちで仕留めた。
その虎は塩漬けにされ、
秀吉に献上へ。
秀吉は虎の肉を非常に気に入り、
朝鮮在陣の大名たちに
虎をもっと送るように、
猛烈にリクエストしたとか。
苦戦を強いられる中で、
点数稼ぎに必死の大名たちは、
何とか恩賞にありつこうと、
秀吉のご機嫌取りに走りました。
実は虎の肉は当時、
「滋養強壮」
に抜群の効果があるとして、
非常に珍重されていました。
秀頼が誕生したのは、
奇しくもこの時期。
子宝に恵まれなかった
秀吉にも効果あり。
虎の肉、恐るべし。
このように歴史を振り返れば、
秀吉にとって、
朝鮮出兵の意義とは何だったのか?
カネや人財を失いましたが、
後継者には恵まれた要因と
言えるかもしれません。
そういう意味では、
完全に失敗とも言えません。
これも虎の肉のお蔭かも??
いずれにせよ、
会社を買う際には
万全のリスクヘッジが必要です。
今日も社長業を楽しみましょう。
《追記》
阪神タイガースファンの
皆さんには今日の内容は
ドキッとさせたかも??
戦国時代に
「虎退治ブーム」
があったとは知りませんでした。
ごめんなさい。
本当に強かった。
史上最速の優勝決定など
無敵でしたね。
個人的には来シーズンは、
オリックスも頑張ってほしい。
(あくまで個人の意見です?)