こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループ
税理士法人トップ財務プロジェクト代表
岩佐孝彦@税理士です。
日本製鉄による
USスチールの買収計画が前進へ。
トランプ大統領が先日、承認しました。
この計画的な提携により、
7万人の雇用創出と約2兆円の
経済効果がもたらされるとか。
この買収に関しては、
紆余曲折がありました。
昨年の米大統領選を前に、
トランプ氏とバイデン氏が
相次いで反対を表明。
今年1月に買収中止命令。
その後、日鉄は米政府を提訴。
ただここにきて好転へ。
この報道後、USスチールの株価高騰。
一時前日比26%高。
日鉄の株価も一時7%高。
売り手も買い手も双方、
株価が上昇した次第です。
ただ懸念材料が2点あります。
1点目は、
この計画的パートナーシップの
スキームの枠組みが不確かなこと。
日鉄が元来計画していた
完全買収なのか?
出資を含めた
新たなスキームなのか?
2点目は、
投資金額が膨大であること。
製鉄所の新設を含めると、
約2兆円とも報じられています。
いずれにせよ、
日本の鉄鋼メーカーが
米国の鉄鋼メーカーを牛耳る。
これは歴史的なことです。
国内に目を移せば、
吉野家がラーメン事業への
本格進出に向けて、
鶏白湯ラーメンで有名な
「キラメキノ未来(京都市)」
を今年買収しました。
吉野家といえば牛丼ですが、
出店&値上げ余地も
小さいとのこと。
今日のコメ問題も影響か?
そこで吉野家はラーメンに
活路を求め、
「5年で業態売上高400億円」
「10年後にラーメンで世界一」
という経営目標を掲げています。
さあ、吉野家のM&Aの成功はいかに?
しかしM&Aには注意が必要です。
ピーター・ドラッカー氏は、
かつてこう語っています。
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経営者が合併や買収に
乗り出すのは、
健全な根拠があるからというより、
本当に役立つ仕事と比較して、
はるかに強烈な興奮を
味わえるからだ。
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成長のための成長を追求すべく、
次から次へと買収に乗り出す。
その結果、業績が伸び悩んでいる。
そんな経営者を揶揄し、
「調子が悪くなったら、
買い物に行こう」
との言葉が2000年代に
米国で流行しました。
『ビジョナリーカンパニー2
~飛躍の法則~』
の名著には、
“間違った買収”
として以下の記述があります。
:
:
:
買収や合併によって、
突破の段階に一気に進もうと
試みる例は失敗のケースが多い。
中核事業が苦境に陥った時、
大型買収に乗り出しても、
成功例は極めて少ない。
自社の根源的強みは何か?
経済的原動力になるものは何か?
情熱をもって、
取り組めるものは何か?
こうした基本的な問いに
経営者は答えようとしない。
企業買収に資金を注入すれば、
成長を達成することはできても、
偉大さへの道を確保することは
絶対にできない。
買収を勢いの促進剤として使い、
勢いの源泉にはしていない。
偉大なる実績に飛躍した企業は、
突破段階に達した後、
すでに高速で回転している
弾み車の勢いを
さらに加速させる手段として、
買収を活用している。
M&Aで規模拡大を目指す
経営者は今日多く見られます。
しかし私たち経営者は、
“間違った買収”
に十分注意を払うべし。
今日も社長業を楽しみましょう。