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情と理 ~ ヤマダ電機の大塚家具買収から考える

こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループの
税理士法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。

大塚家具がヤマダ電機の傘下へ。

 

 

「まさか、出資を了承してくれるとは」

 

 

日本経済新聞によれば、大塚関係者は、
驚きと同時に胸をなでおろしたとか。

なぜなら、ヤマダ電機はこれまで、
出資を断り続けていたからです。

一方、ヤマダ電機(東証1部)の株価は急落しました。

 

 

「家具と家電販売事業との相乗効果は
本当に生まれるのか?」

「ヤマダ電機はお荷物を抱え込んだ?」

 

 

市場のそうした声が株価に反映したと言われています。

本件については、以下の2点の疑問の声が聞かれます。

 

▼疑問その1

ヤマダ電機は今なぜ、大塚家具を子会社にするのか?

▼疑問その2

大塚久美子社長はなぜ、社長を続投するのか?

 

 

まず、ヤマダ電機が子会社化を決めた
背景について考えてみましょう。

日経新聞電子版(12月12日付)に解説記事が出ました。

 

 

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ヤマダ電機創業者の山田昇会長にとって、
大塚久美子社長は特別な存在と思われる。

山田会長には久美子氏よりも数歳年下の
娘(山田直美さん)がいたが、

2002年12月にヤマダ電機本社近くの
路上で自動車事故に遭い、亡くなった。

享年26歳。ヤマダ電機創業3年目に生まれた。

両親の働きぶりをつぶさに見てきた直美さんは、

入社当時(2000年)から、
山田昇氏の後継者の一人と目されていた。

そのショックはいかばかりか。

そんな山田会長にとって亡くなった娘と
同世代の大塚社長のここ数年の動静に
心を痛めていても不思議ではない。

今回の子会社化は【経済合理性】

よりも山田会長から大塚社長への【情】

が優先したのではなかろうか。

…………………………………………………

 

 

 

深層心理に切り込んだ分析コメントです。

しかし記者会見では、山田会長のお言葉に、

【情】は一切感じさせませんでした。

 

 

 

…………………………………………………

大塚家具の商品は粗利が高く、
売上を伸ばせば、黒字を達成できる。

増資額約44億円は3年で回収できる。

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大塚久美子社長にラストチャンスを与えた?

ヤマダ電機の粗利率24%。大塚家具の粗利率51%。

ヤマダ電機は今回の買収を契機に、
富裕層へ客層を広げたい考えだとか。

「安売り」ヤマダの「高級路線」挑戦へ。

今後の展開に注目です。
 

 

次に、大塚久美子社長はなぜ、
社長を続投したのかを考えてみましょう。

この背景には【お家の事情】

があるといわれています。

資産管理会社ききょう企画の借金問題です。

父と娘のバトルで勝利を収めたのは、久美子社長でした。

しかし、父勝久氏も黙って引き下がらない。

久美子社長が実質支配権を持つ、
資産管理会社ききょう企画に対し、

社債償還を求める訴訟を起こす。結果、父勝久氏が訴訟に勝つ。

ききょう企画は父勝久氏に対し、
17億円を支払うことに。

この17億円を手配すべく、
ききょう企画は大塚家具株式を担保へ。

三井住友銀行から借入を行ったとか。

このことが大塚家具の経営に影を落とす。

ききょう企画は資産管理会社であるため、
大塚家具からの配当が収益の柱となる。

 

 

ききょう企画の銀行借入を返済するためなのか??

大塚家具は赤字であるにもかかわらず…

高配当を続けたのです。

2015年の父と娘のバトルの中で、
両者は株主を振り向かせるため、

高額配当を約束した。

2015年と16年は、80円の高配当。

大赤字の2017年にも、40円の配当。

こうして、大塚家具は赤字に加え、
高配当のダメージでキャッシュフロー悪化。

現預金はわずか4年で、5分の1に激減。

 

 

久美子社長が辞め、経営陣が刷新…

もしそうなれば、大変なことになる??

これまでの不可解なキャッシュの流出に
疑いの目が向けられ、追及される。

よって、久美子社長は何としてでも続投せねばならない。
そんな【お家の事情 =私情 】があるとか。

 

 

自社株対策のソリューションとして、
金融機関は持株会社設立を提案してきます。

しかし、自社株の買取り資金を借金すれば、
経営に影を落とすことの典型例でしょう。

これは、創業家にとっては禍根を残します。

実質的には、相続税が借金に様変わりするだけです。

銀行から借入せずに自社株対策を解決する。

そんな手法を私どもでは提唱しています。

改めて、大塚家具の問題を反面教師にして下さい。

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今回の買収劇の主人公は以下の通り。

買い手のヤマダ電機。売り手の大塚家具。

両社のトップの決断に【情】

があったのかもしれません。

 

 

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利を優先し、情を添える。

by 松下幸之助

 

 

大事は理をもって決し、
小事は情をもって処す。

by 辻亨(丸紅元社長)

 

 

情に基づく理、理に基づく情があって初めて、

チームも人間関係も円滑に機能させることができる。

by 野村克也

…………………………………………………

 

 

 

情と理のバランス感覚。

経営はホントに難しいですね。

特に情の中に「私情」をはさみすぎる。

そうなると、経営にマイナスをもたらすことがあります。

経営者が『決断』を下す際に、
十分注意しなければなりませんね。

今日も社長業を楽しみましょう。

 

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