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大阪に存在した1400年の長寿企業のお話

こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループの

税理士法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。

連日猛暑続きで夏到来ですね。

先日この夏初めて、蝉の鳴き声を耳にしました。

蝉を季語にした俳句の名作があります。

静まり返った景色の中に、蝉の声が響く風情を唄った句。

 

 

▼閑さや岩にしみ入る蝉の声(松尾芭蕉)

 

 

▼蝉鳴や行く人絶ゆる橋ばしら(与謝蕪村)

 

 

▼蝉なくや見かけて遠き峰の寺(勝見二柳)

 

 

▼蝉なくやつくづく赤い風車(小林一茶)



蝉は幼虫として7年も暗い土の中にいる。

成虫になり、やっと明るい地上に出る。

しかし、成虫の寿命はたったの7日…

というわけで、

 

 

【蝉 = 短命・はかなさの象徴】

 

 

と言われることが古今東西多いですね。
ただ法人の寿命は、はかなく・短命ではなく、

 

 

【永続・長寿】

 

であるべきです。

ギネスブックで世界最古と言われる企業が大阪にありました。

その名は【株式会社金剛組】です。

社歴は何と、1400年以上!

百年どころではありません。

ただ今日までの経過は決して順調ではありませんでした。

人生同様、経営も山あり谷あり。

同社の創業は西暦578年。聖徳太子の時代に遡ります。

金剛家は創業以来、日本最初の官寺である四天王寺の

「お抱え」大工として発展してきました。

1576年の石山寺の戦いや1614年の大坂冬の陣など、

7度の焼失と再建を果たす。

その技術は全国に広がり、江戸時代には名字帯刀を許される
地位を得ました。
しかし明治になると、第1のピンチが襲う。

明治維新では神仏分離令により、 四天王寺が寺領を失い、
仕事がなくなってしまった。

その後、昭和大恐慌に直撃し、業績は悪化し、倒産寸前に。

第37代目の金剛治一氏は人並外れた職人気質。

営業活動には全く疎かった。

 

「このままでは先祖に申し開きができない」

と治一氏は1932年、代々の墓の前で白装束で自害。

当主を突然失い、第2のピンチが同社を襲う。

その後、承継したのは治一の妻よしゑ。

当時40歳の彼女に、14歳の長女をはじめとする
3人の娘と共に残された。

宮大工の知識もなければ、建築の専門知識もない。

夫の後を追い、自らも命を絶つことを考えた。

しかし、

「社員を路頭に迷わせるわけにはいかない」

と妻がこのピンチに立ち上がった。

これにより関係者全員が結束し、

第2のピンチを乗り越える。

38代目よしゑはその後、第3のピンチに直面する。

1942年の「企業整備令」。

中小企業を統廃合し、戦時の重要産業に注力するのが
目的でした。

金剛組も整理の対象に。

しかし、よしゑは役所と何度も掛け合い、

軍用木箱を製造する条件で、
何とか存続の命をつなぎました。

その後、婿養子に利隆氏を迎え、第39代目に就任。

1955年に株式会社化し、組織の近代化を図ります。

しかし皮肉にも…

この株式会社化が第4のピンチを引き起こします。

株式会社化により、
以下の労働法規の遵守が義務付けられたからです。

 

▼従業員の安全・雇用

▼最低賃金の確保

 

それまでの金剛組の伝統的な強みは何だったか?

寺社建築サイクルに合わせた
宮大工雇用の柔軟な縮小拡大でした。

組織内で職人同士が切磋琢磨する内部競争を働かせ、

仕事の割り振りをする。

これにより、事業規模と職人雇用のバランスを取り、
採算性を確保してきました。

しかし株式会社化により、
この強みが維持できなくなりました。

確かに株式会社化により、
銀行からの資金調達は容易になった。

しかし、寺社建築のライフサイクルより、
銀行借入返済のスピードの方が速い。

このため、金剛組は自転車操業になり、
赤字工事の受注拡大で債務超過へ。

▼寺社建築施行の収入

▼従業員への賃金の支払い

▼銀行借入金返済

 

こうしたキャッシュフローのズレに
同社はうまく対応できませんでした。

そしてついに2006年に高松建設へ事業譲渡。

金剛家は経営の一線から退きました。

曽根秀一氏(静岡文化芸術大学専任講師)は、

『一橋大学ビジネスレビュー』(東洋経済)

の中でこう評しておられます。

……………………………………………………

株式会社化は必然的に、
銀行への資金依存を生み出した。

組織の近代化を図るということは、
銀行というアクターを事業に引き込むこと
を意味する。

銀行の動向次第では、
金剛組がいかに技術力を維持し続けても、
衰退や倒産に追い込まれてしまう。

それゆえ、老舗企業の存続とその軌跡は、
先行研究が想定してきた市場原理への適応
のみでもたらされるのではない。

事業を営むにあたり、
承業経営者が関係を取り結んだ銀行
との関係において、

事業のシステムを構築することで
大きく変わってくるのである。

……………………………………………………

金剛組が1400年の長い歴史に
実質終止符を打った要因は、
【銀行借入依存の財務体質】

と曽根氏は結論付けています。

 

それでは、銀行借入依存度を示す数値について、
具体的に考えてみましょう。

TKC経営指標の22万件のDB
の統計数字を紹介します。

 

▼銀行借入金の総資産に占める割合

*優良企業 15%

*黒字企業 37%

*全平均  46%

⇒ 法人の46%は借金で
成り立っている??

 

▼銀行借入金対月商比率

*優良企業 1ヶ月

*黒字企業 3.6ヶ月

*全平均  4.5ヶ月

⇒ 年商の半分が借入金の
デッドライン??

 

私(岩佐)が常日頃言うように、

『無借金経営は決して美ではない』

のは確かです。

【金利 = 安心を買う保険料】

として100%損金で落ちます。

手持ちキャッシュと銀行借入金を両建てして、

安全を買うという考え方は合理性があります。

無借金経営を目標にすると、
手足を縛ることになり、経営はジリ貧になりかねません。

よって、

【無借金経営は目標ではなく結果】

と考えるべきです。

しかし、何事もバランスは重要です。

銀行借入依存度の高い経営に陥らないように

心がけるべし。

 

▼総資産に占める銀行借入金の割合

▼銀行借入金対月商比率

 

を常にチェックしましょう。

世界一の長寿企業の金剛組からの学びです。

今日も社長業を楽しみましょう。

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