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日経トップリーダー 2016年5月号

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こんにちは、大阪駅前の税理士法人トップ財務プロジェクトの岩佐孝彦です。

今日の一冊はコチラ!

 

 

『日経トップリーダー2016年5月号』(日経BP社)

特集:中小企業を襲う社員の不正 悪人を生まない経営の仕組みとは?

 

 

それでは本日の赤ペンチェックを見てみましょう。

 

 

 

▼温床となった「家族的企業の派閥」 藤井隆太(龍角散社長)

2月22日、1本のニュースが飛び込んできた。のど薬や嚥下補助ゼリーなどで

知られる龍角散(東京・千代田)に勤務していた50代の元マーケティング部長

が逮捕されたという内容だった。

 

 

 

▼架空発注の回数は約50回、詐取した金額は計1億3000万円に及ぶというから、

出来心で片づけられるものではない。M氏はこのお金を知人のタイ人女性の

ために、タイにアパートを建てたり、渡航費に当てたとしている。

龍角散は1871年創業の老舗企業で、藤井隆太社長は8代目だ。

 

 

 

▼龍角散の事件は、氷山の一角だ。実は今、こうした社員の不正が大企業でも

中小企業でも、日本の至る所で起きている。財務体質の脆弱な中小企業の場合、

不正の金額が大きいと、問題が発覚したときには手遅れというケースもある。

 

 

 

▼Mは逐一、記録をつけていました。そこには「M資金」という名目で、

299万円の支払伝票を長年乱発していたことがはっきり出ていました。

当社は300万円以上が役員決裁。300万円未満なら、部長職のMが1人で

決裁できたのです。

Mを呼び出して追求したら、見るのもかわいそうなくらい、しどろもどろに

なり、弁明しました。ただ、金額が大きかったので、警察に通報しないわけ

にはいかない。

 

 

 

▼社員100人ほどの中小企業では、大企業のような頻度で担当者を変えるのは

現実には難しい。社員が粒ぞろいとはいかないので、担当を変えると仕事に

ならないことが多いからです。

 

 

 

▼300万円未満の伝票なら、自分の権限でどうにでもなる。代理店とも気脈が

通じている・・・。不正の温床となるそうした環境をつくったのは、私の

責任です。

加えて、組織が緩んでいたことも今回の事件を招いたと思っています。

龍角散は小さな会社なのに、派閥がありました。どのような会社でも多少は

あるのでしょうが、うちは老舗企業ということもあり、OBを巻き込んで、

昔から強力な派閥が出来上がっていたのです。

 

 

 

▼稲盛氏のダブルチェックの意味

京セラでは、代表印や銀行届出印は二重の印鑑箱に入れる。

内箱の鍵の管理者である捺印者と、外箱の鍵の管理者を別の社員にし、

相互にチェックするのだ。印鑑箱は普段は耐火金庫に入れ、金庫の開閉は

さらに別の社員が行う。

また、文房具の購入は必ず社内の購買部門を通す。たとえ会社の前に

文房具店があり、そこで買った方が早く入手できるとしても、買うことは

許されない。

社員が1人で品物とお金の受け渡しをする場面をなくしているのだ。

 

 

 

▼「『ダブルチェックの原則』は、経理のみならず、あらゆる分野で、人に

罪をつくらせない『保護メカニズム』の役割を果たす。伝票処理や

入金処理を1人ではなく必ず複数の人間でチェックするというダブルチェック

のシステムは、業務の信頼性と、会社組織の健全性を守ることになる」

 

 

 

▼「人に罪をつくらせない」という言葉に、稲盛氏の人間観、経営観が

良く表れている。

 

 

 

▼稲盛氏は著書にこう記している。

「これは人間不信や性悪説のようなものを背景としたものでは決してなく、

底に流れているものは、むしろ人間に対する愛情であり、人に間違いを

起こさせてはならないという信念である」

 

 

 

▼稲盛氏は公私混同を嫌う。創業間もない頃に、就業時間内の私用電話を

禁じたことからも、それは分かる。昔はどの会社でも多少の私用電話は

黙認されていたが、稲盛氏は、時間の面からもお金(通話料)の面からも、

私用電話はあってはならないと考えた。

そこまでしなくても、というくらいに細かいところから公私混同を厳しく

戒める。経営者がこれをやり切れるかどうかが、稲盛氏の言う信念なのだ。

 

 

 

▼社員を本当に愛しているならば、チェック体制を整備し、厳しくルール化

しなければならない。優しくするだけでは、社員を愛することにはならない

のだ。そして、社員の不正を何としても防ぎたいのなら、経営者自身が

公私混同と決別する強い信念が必要なのだ。

 

 

 

今日も社長業を楽しみましょう。

 

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