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バカが多いのには理由がある

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こんにちは、大阪駅前の税理士法人トップ財務プロジェクトの岩佐孝彦です。

今日の一冊はコチラ。

 

 

バカが多いのには理由がある』橘玲(集英社)

 

 

思わず、ドキッとさせられるタイトルですが、興味深い本です。

尖った表現が多く、読んでいて飽きさせない内容ばかり。

前書きを読んで、テレビはやっっぱり見るべきでないと再認識させられ

ました。ただ私が今唯一楽しみに毎週見ているテレビがNHK大河『真田丸』。

これは、くだらない内容ではないと思いますが…(笑)

それでは本日の赤ペンチェックを見てみましょう。

 

 

 

▼「昼間っからテレビを見ている視聴者って、どういう人かわかりますか?

まともな人間は仕事をしているとテレビの前なんかにいません。暇な主婦とか、

やることのない老人とか、失業者とか、要するにまっとうじゃない人たちが

僕らのお客さんなんです。彼らを一言でいうと、バカです。

僕らはバカを喜ばせるためにくだらない番組を毎日つくっているんですよ。

あなたの役に立つ話ができるわけないでしょ。」

彼はテレビ局のエリート社員ですから、この偽悪ぶった言い方がどこまで

本音かわかりません。

私が驚いたのは、その言葉の背後にある底知れぬニヒリズムです。

彼によれば世の中の人間の大半はバカで、1000万人単位の視聴者を相手に

するテレビ(マスコミ)の役割はバカに娯楽を提供することです。

その一方で、テレビは影響力が大きすぎるので失敗が許されません。

 

 

 

▼「バカだって暇つぶしをする権利はあるでしょ」彼はいいました。

「それに、スポンサーはバカからお金を巻上げないとビジネスになり

ませんしね」

こうしたニヒリズムがメディア全体を覆ってしまったようです。

 

 

 

▼累進課税は才能への懲罰?

 

 

 

▼フランスでは2012年5月、新自由主義的な改革を目指していたサルコジを

破って、格差是正を掲げたオランドが大統領に就任しました。

オランド政権は富裕層への所得税増税を選挙の公約にしていましたが、

年収100万ユーロ(約1億1500万円)を超える個人の所得税率を40%から

75%へと大幅に引き上げようとしたため大混乱を引き起こします。

反発の大きさに驚いた新政権は増税を2年間の時限措置にすることで

理解を得ようとしますが、高級ブランドを展開するモエヘネシー・

ルイヴィトンの最高経営責任者(CEO)がベルギー国籍を申請する

など、富裕層の国外脱出が止まりません。

もっとも過激なのは、カンヌやヴェネチアの映画祭で男優賞に輝いた

フランスを代表する映画俳優ジェラール・ドバルデューで、「フランス

政府は成功を収めた人や、才能がある人を罰しようとしている」として、

ロシアのプーチン大統領から直接パスポートを受け取ります。

ドバルデューほどの有名人ならスイスやモナコの国籍を取得することも

簡単でしょうから、これはオランド政権に対する強烈な皮肉です。

 

 

 

▼フランスは1789年のバスティーユ襲撃から始まる革命によって誕生した

近代国家で、その国是は自由・平等・友愛の三色旗に象徴されています。

ドバルデューの外国籍取得は税金逃れのように見えますが、その批判はより

根源的で、「平等とはなにか?」を問いかけています。

そもそも近代の理念は、人種や国籍、宗教、性別にかかわらず、すべての

人は平等に人権を有しているというもので、近代国家には国民を無差別に

平等に扱うことが求められます。

だからこそ、極端な累進課税で一部の富裕層を「差別」することは建国の

理念に反する、という批判が出てくるのです。

オランド政権は、経済格差という不平等を正すために、所得によって国民を

「差別」します。ところが、EUのような移動の自由な社会でこうした政策

を強行すると、国外に脱出することで課税を逃れようとする人たちが

出てきます。

それも日本と違ってヨーロッパは地続きで、モナコはもちろん、隣国のベルギー

やスイスの一部でもフランス語が使われています。

その結果、富裕層に対する懲罰的な課税は国外脱出を誘発するだけだとして、

福祉国家として知られるスウェーデンは相続税を廃止してしまいました。

こうした国が増えてくれば、富裕層に重税を課す国には貧乏人しか残りません。

 

 

 

▼経済学においては、人の行動はインセンティブによって決まると考えます。

 

 

 

▼世の中には経済学が大嫌いな人がたくさんいて、「みんな損得だけで行動

している」という前提(合理的経済人)が根底から間違っている、と批判します。

商売では、損をする覚悟で安く売る、という「非合理的」な行動がしばしば

見られます。

しかし、経済学では、こうした親切は「相手と長期的な関係を築くための合理的

戦略」として「損得の体系」に組み込まれてしまいます。

そのことが、道徳や正義といった大切な価値をないがしろにするように思えるのです。

 

 

 

▼官民格差の是正を目的に、国家公務員の退職金が段階的に約15%引き下げられ

ることが決まったことで、各地の自治体が地方公務員の退職金を減らす条例を

制定し始めました。

 

 

 

▼教師は「聖職」とされ、警察官は「公共への奉仕」の象徴です。

彼らはこれまで、誇りを持って公務員として働いてきたはずです。

 

 

 

▼「人は経済的な損得に基づいて合理的に行動する」という経済学は、

単なる空理空論ではなく、この社会で起きていることを上手に説明できるのです。

 

 

 

▼遺伝が知能や正確にどの程度影響を与えるかは、行動遺伝学という学問によって

科学的に検証され、ほぼ答えが出ています。

 

 

 

▼性格の形成に遺伝がなんの影響も及ぼさないとしたならば、一卵性であっても

二卵性であっても「似ている度合い」はほぼ同じになるはずです。

 

 

 

▼行動遺伝学によれば、神経症傾向や外向性、調和性、固執などの性格的特徴は

4~5割が遺伝の影響です。能力ではこの傾向がはるかに顕著で、スポーツは

もちろん、音楽や数学、一般知能は8割が遺伝によって決まります。

自分が音楽家になれるかどうかは、親を見ればわかるのです。

 

 

 

▼驚くべきことに、行動遺伝学によると性格形成に家庭(子育て)はほとんど

影響を及ぼしていないようなのです。

なぜこんなことがわかるかというと、一卵性双生児のなかに、一方(もしくは両方)

が里子に出されて別々の家庭で育ったケースがかなりあるからです。

こうした双子は、遺伝子的にはまったく同じで家庭環境だけが異なりますから、

同じ家庭で育った一卵性双生児と比較することで、性格や能力の形成における

家庭の影響だけを取り出すことができるのです。

 

 

 

▼性格は子育てではなく、家庭以外の非共有環境で決まります。

非共有環境とは、学校などでの友達関係だとされています。

参考文献:安藤寿康『遺伝マインド』(有斐閣)

 

 

 

▼有名大学の学生を調べると、裕福な家庭の子どもが多いことが知られています。

「貧しい家に生まれると教育を受ける機会もなく、ニートや非正規になってしまう」

とか、「金持ちの子どもだけが私立の進学校に進み、エリートになるのは不公平だ」

などの批判が起こりました。

自らも有名大学の出身である大学教授などは、「教育格差をなくすためにもっと

公費(税金)を投入すべきだ」とか、「低学歴で就職できない若者には国が

(税金で)教育支援すべきだ」などと言っています。

 

 

 

▼「金持ちの家の子どもは有名大学に進学できる」という因果関係は正しいのでしょうか?

 

 

 

▼行動遺伝学によれば、正しい因果関係は、「知能の高い親から生まれた子どもは

有名大学に進学する可能性が高い」というものです。

知識社会では一般に、知能の高い人が高収入を得ていますから、有名大学の

学生を調べると結果的に「金持ちの家の子どもが多い」ということになるのです。

 

 

 

▼「格差社会」の原因が親の収入にあるのなら、裕福な人から税金を徴収し、

貧しい人に分配すればいいのです。

 

 

 

▼経済(教育)格差の原因が遺伝である場合は、原理的な解決方法はありません。

こちらは多くの人の神経を逆なでしますから、「差別」として厳しいバッシング

にあいます。

 

 

 

今日も社長業を楽しみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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