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【退職所得増税】伊東市長5ヶ月で192万円

こんにちは、JR大阪駅前の税理士法人&

経理代行事業のTFPグループ代表兼CEO

岩佐孝彦@税理士です。

 

静岡県の伊東市初の女性市長が退場へ。

自身の学歴詐称疑惑のため、

田久保氏の失職が決まりました。

 

驚くべきは退職金の金額です。

わずか5ヶ月の在任で、

退職手当192万3,750円。

 

地方自治体の首長としての、

政治家のお金の世界における、

特殊性を認識させられます。

 

退職金の特殊性は

オーナー経営者にも存在します。

 

税務上の【役員退職金】ですね。

 

社員の退職金は、

 

▼就業規則

▼退職金規程

 

によって定められることが多い。

 

それに対し、役員退職金は、

 

▼株主総会決議

▼役員退職金規程

 

によって定められます。

更に役員退職金として、

下記3種が存在します。

 

▼勇退退職金

会社法上における役員が

退職する際に法人から支給される。

 

▼死亡退職金

役員が亡くなった際に

遺族に支給され、

遺族の生活保障の意味合いが強い。

 

▼弔慰金

役員が亡くなった際に

遺族に支給され、

故人の功労に報いる

意味合いが強い。

 

伊東市長の事例のように、

退職金が手厚いのは、

 

「退職手当が日本の税制で

最も優遇されている」

 

からです。

 

具体的な税制優遇のポイントは

以下の通りです。

 

▼大きな非課税枠

⇒ 退職所得控除額

⇒ 勤続年数20年以下:

40万円×年数(A)

⇒ 勤続年数20年超:

800万円+70万円×(A-20年)

 

▼2分の1課税

⇒上記の退職所得控除額を

額面金額から差し引いた上で、

2分の1に課税所得を圧縮

 

私(岩佐)が常日頃より

言っているのは、

 

「金持ち=年収の高い人」

 

と勘違いしている人が

あまりに多いという事実です。

 

年収の話題ばかり目立つのは、

世間には資産家よりも

給与所得者が圧倒的に多いからです。

 

《注》

給与所得者にとって、

今年の年末調整は準備が大変です。

早めの準備をお願いします。

 

稼いだ額よりも

残した額の方が重要です。

 

老後に心穏やかな生活を送りたい。

 

オーナー経営者がそう願うなら、

【役員退職金】

は極めて重要でしょう。

 

しかし近年、

退職手当に関する改正が目白押し。

税効果が極めて高いがゆえに、

増税規定が色々入っています。

 

2022年1月1日より適用開始なのは、

 

【短期間での役員退職金の増税】

 

です。

 

まさに田久保市長の事例です。

 

具体的には以下の改正です。

 

▼在任5年以下の

役員に対する退職金

⇒ 特定役員退職手当等として区分

⇒ 2分の1課税の廃止

 

 

1年あたり40万円(5年最大200万円)

の退職所得控除はできますが、

さらに2分の1に

課税所得を圧縮できなくなりました。

くれぐれもご注意ください。

オーナー経営者におかれましては、

 

【小規模企業共済制度】

 

に加入している。

そんなケースも多いでしょう。

 

中小企業基盤整備機構による

公的制度ですね。

 

この公的制度を活用し、

全額所得控除(年間最大84万円)の

税効果を得ながら、

退職金の準備を

賢く行っている例です。

 

《注》

医療法人の理事は加入不可

 

 

こんなオーナー経営者の場合、

退職金のカードを

2回もらえるチャンスあり。

 

▼小規模企業共済の共済金

▼法人からの役員退職金

 

この場合、

「両者の受取時期を工夫」

することで税効果を大きくする。

そんなことも可能です。

 

つまり、

小規模企業共済の共済金を

先に受け取ってから、

 

【5年】

 

の期間を空ければ、

 

「別枠で退職所得控除」

 

を使うことが可能です。

 

共済金でも役員退職金でも

ダブルで退職所得控除が使えるのです。

 

5年空けてから、

別の退職金をもらう。

こうすれば、有利なのです。

しかし、ちょっと待った!!

 

上記規定は【令和7年12月末】まで。

 

こちらにも令和7年度税制改正にて、

増税規定が入りました。

 

令和8年1月1日以降に

小規模企業共済を受け取った場合、

 

【10年】

 

の期間を空けなければ、

 

別枠での退職所得控除が

使えなくなります。

 

つまり、9年以下でなければ、

共済金と役員退職金の

退職所得控除の重複期間は、

ダブル控除(二重取り)

できなくなります。

 

来年以降の施行にご注意を!!

 

その他、

オーナー経営者におかれましては、

複数法人の役員を務めている。

 

そんなケースもありますから、

退職金受取タイミングは重要です。

 

 

こんなお話をすれば、

 

「小規模企業共済に現在、

加入しているけど、

年内に解約した方が

お得かもしれない」

 

と考える方がいるかもしれません。

 

9月22日からオンラインでの

解約手続きも可能になりました。

 

しかし、これもちょっと待った!!

 

 

小規模企業共済の加入期間が

 

「20年未満」

 

の場合、

元本割れの可能性が高いことに

ご注意ください。

 

税効果を考慮すれば、

実質の利回りはプラスかもしれません。

 

ただ加入20年以上になれば、

単純返戻率100%であるのは、

メリット満載です。

 

来年以降の解約の場合、

確かに増税規定が入りますが、

安易な解約はNGでしょう。

 

 

但し、共済金を退職金として、

一括受取せず、

 

分割で受け取れば、

上記増税規定は関係ありません。

 

 

また、

65歳以降に共済金を受け取る方が

有利になっています。

顧問税理士と相談して下さい。

 

そもそも論として、オーナー経営者は自身の

退職金の準備は万全でしょうか??

 

政治家は国民や市民の血税から

退職金をもらえるのかもしれません。

 

しかし経営者の場合、

自助努力で退職金の財源を

つくっておかねばなりません。

 

にもかかわらず、

日々の資金繰りに追われ、

役員退職金の準備ができていない。

そんなケースも目にします。

確かに

役員退職金の準備方法としては、

 

▼経営者保険

《注》

バレンタインショック以降、

全損保険は廃止

 

が代表例でしょう。

 

こうした準備方法は確かに、

一定期間にわたり、

資金が固定化しますので、

運転資金として使えません。

 

実際のところ、

帝国データバンクによれば、

以下の悲しき実態が見えます。

 

▼経営者が70歳以上の企業数

245万社

 

▼経営者の平均年齢62歳

 

▼後継者未決定65.1%

 

つまり、62歳になっても、

3人に2人の経営者は

出口対策が見えていないのです。

高額の役員報酬を取り、

法人も堅実なる黒字経営を展開。

 

しかし出口対策が見えず、

役員退職金の準備もままならない。

 

これは経営者にとって、

望ましい状態とは言えません。

 

社長自身が幸せでいてこその

経営です。

 

自己犠牲を前提とした

経営はあり得ません。

 

経営は以下の三者の満足度を

追求すべきです。

 

▼顧客の満足度

▼社員の満足度

▼経営者の満足度

 

しかし他人の幸せに寄与できる

ビジネスであったとしてさえ、

持続可能でなければ、

全く肯定できません。

 

持続的に毎月の会社の

キャッシュフローの中に、

将来の役員退職金の準備資金が

組み込まれていない。

 

これはある種の自転車操業です。

 

そもそも自分が

満たされていないのに、

他人を満たすところにまで

思いを致すことはできないでしょう。

人手不足時代の中で、

注目を浴びているのは、

 

「社員の退職金制度

= 企業型確定拠出年金」

 

の導入です。

 

 

ただオーナー経営者自身の

退職金準備が疎かなのに、

社員の物心両面や老後資金まで

ケアできるはずがありませんね。

 

たくさん稼ぐことは、

資産形成の初期段階では有利です。

 

しかしゴールは、

 

「お金を残す」

「資産を持つ」

 

ことなのです。

 

今日も社長業を楽しみましょう。

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