全国経営者セミナー登壇当日の
講師控室でのこと。
是非ともご挨拶させて頂きたい。
そう思っていた方が
講師としてお見えでした。
楠木建氏。
一橋大学ビジネススクール
特任教授。
骨太の経営学書にも関わらず、
30万部突破のロングセラー。
『ストーリーとしての競争戦略
~ 優れた戦略の条件』
(東洋経済新報社)
は名著として、
今も読み継がれています。
楠木建氏と一緒に講師控室で
写真撮影して頂きました。
同書で語られているのは、
【一見すると非合理】
という概念です。
短期的&部分的には、
「不合理=高コスト」
に見える打ち手(戦略)が、
全体的なストーリーの中では
不可欠な利益の源泉となっている。
一見非合理だから、
他社からマネされないし、
参入障壁になる。
これが優れた競争戦略の
根幹を成すという意味です。
楠木建氏は具体的事例として、
例えば以下の企業を紹介しています。
▼スターバックス
⇒ コーヒーではなく、
サードプレイスの体験を売る
⇒ コーヒー出来上がりまで
顧客を敢えて待たせる
⇒ 顧客に店内でゆっくり
過ごしてもらう
(回転率を上げない運営)
⇒ 全店直営方式
(高コストの非効率)
▼アイリスオーヤマ
⇒ 設備稼働率70%の経営
(100%を敢えて目指さない)
⇒ マスク不足や米不足など
急な需要に対応可能へ
⇒ 発売3年以内の新製品を
売上比率50%以上
⇒ 毎週月曜日の
新製品プレゼン会議実施
⇒ ユーザーインと
メーカーベンダーという
戦略ストーリー
▼トラスコ中山
⇒ 62万点を超える在庫
(売れ筋だけを揃えない)
⇒ 1拠点200億円の物流施設を
全国28ヶ所設置
⇒ 自前の輸配送網
(大量のトラック&人員を
内製化で装備)
⇒ 在庫回転率は完全無視
⇒ 在庫出荷率を重視
逆に言えば、
「一見すると合理的だが、
実は非合理」
である戦略には要注意です。
例えば、M&A。
中小企業の後継者不足を背景に、
近年過熱しています。
事業意欲の高い経営者は、
「M&A=競争戦略」
と位置づけるケースも多い。
しかし楠木建氏はこう言います。
M&Aは事業を売ったり買ったり
するという、
全社的な事業の構成を決めたり、
全社のポートフォリオを決める話に
すぎない。
よって、
競争戦略の直接的な対象ではない。
事業という競争している単位でしか、
競争戦略の概念は存在しない。
またM&Aが失敗する確率が高いのは、
「買値が高すぎるから」
とズバリ指摘しています。
プレミアム(高額な仲介手数料)を
乗っけないと買えない。
100メートル走に出場しているのに
その人だけ120メートル
走らないといけないレース。
それがM&Aであると。
企業を買収し、
自分がオーナーシップを握ったら、
よほどうまくできるという
自信がない限り、
M&Aは基本的に負け戦になるのです。
明らかに不利な要素を抱えていても、
自分なら絶対に儲けられるという
明快な戦略がある。
ここに初めて、
競争戦略の視点が生まれるのです。
一見すると合理的だが、
実は非合理な戦略が、
M&Aであるならば、
【中小M&A税制】
を活用する。
そのうえで
買収リスク軽減に尽力すべし。
令和6年度税制改正にて、
以下のように大幅拡充へ。
▼1回目の買収(損金計上額)
*ビフォア
⇒ 買収金額の70%
*アフター
⇒ 買収金額の90%
▼2回目の買収(損金計上額)
*ビフォア
⇒ 買収金額の70%
*アフター
⇒ 買収金額の100%
▼据置期間
*ビフォア ⇒ 5年間
*アフター ⇒ 10年間
以上の税制の適用期限は、
2027年3月31日まで。
また、経産省の経営力向上計画の
事前認定が必要です。
誰にでもできることを
一生懸命磨いていても、
差別化なんてできません。
この時点で、
競争戦略の本質を見誤っています。
他社から見ると異常だが、
自社にとっては当たり前。
これを起点に動くから、
勝機が生まれ、
儲かるビジネスになるのです。
スタバはコーヒーではなく、
「サードプレイスの体験」
を売っている。
アップルはスマホではなく、
「創造性を解放するツール」
を提供する。
このように抽象度を上げるほど、
差別化ができるのです。
表層的ではない、
深い思考が経営者の頭にあるか?
私たちに今求められています。
今日も社長業を楽しみましょう。