こんにちは、JR大阪駅前の税理士法人&
経理代行事業のTFPグループ代表兼CEO
岩佐孝彦@税理士です。
令和8年度税制改正大綱が先日、
正式に発表されました。
全155ページ。
自民党が公表した大綱全文に
目を通した感想は以下の通り。
「高市さん、やるじゃん!」
あくまで個人の感想です。
自民税調の議論はこれまで、
「インナー」
と呼ばれる一部の幹部が主導。
“ザイム真理教”
と揶揄され、財政規律派が主流。
しかし高市首相は一変させました。
税調会長は、小野寺五典氏。
インナー経験なし。
経済成長を重視する
高市カラーが色濃く出ました。
税制改正大綱のポイントを
解説していきましょう。
■朗報(減税&拡充)
▼その1
少額減価償却資産の特例
(現行)30万円未満
(今後)40万円未満
↓
↓
高性能のパソコン等を
購入しやすく。
(注)
年間合計上限300万円未満は
変わらず。
▼その2
特定生産性向上設備等
投資促進税制の創設
(シン投資促進減税)
*投資額5億円以上
*本業で使用する機械装置・
器具備品・ソフトウェア
(注)
事務用器具備品はNG
*建物OK
⇒これは画期的!
(注)
工場に基本的に限定
本社・社宅はNG
↓
↓
即時償却
or
7%の税額控除
(建物:4%の税額控除)
▼その3
暗号資産の分離課税化
(現行)総合課税
(今後)分離課税
*対象:登録された暗号資産
(特定暗号資産)
*所得税15%&住民税5%
*譲渡損失
⇒ 3年繰越OK
⇒ 譲渡益との損益通算OK
↓
↓
暗号資産に春が来た!
(個人投資家&富裕層に朗報)
▼その4
基礎控除引上げ
*合計所得金額
2,350万円以下 … 62万円
2,400万円以下 … 48万円
2,450万円以下 … 32万円
2,500万円以下 … 16万円
2,500万円超 … 0
↓
↓
来年度の所得税より適用
(今年変わったのに、、、
また来年変わります、汗)
▼その5
給与所得控除の最低保障額引上げ
(現行)65万円
(今後)69万円
↓
↓
来年度の所得税より適用
(今年変わったのに、、、
また来年変わります、汗)
▼その6
通勤手当の非課税限度額引上げ
⇒ 最大7,100円引上げ
⇒ R8年4月1日以降の適用
(注)
駐車場代 … 5,000円を上限に追加
▼その7
食事手当の非課税限度額引上げ
(現行)3,500円
(今後)7,500円
(注)
深夜残業の取扱い
⇒ 現物に代えて金銭支給
⇒ 1回300円から650円へ
▼その8
特例事業承継税制の拡充
⇒ 特例承継計画の提出期限の延長
(現行)R8年3月
(今後)R9年12月
(注)
特例措置の適用はR9年12月
までの相続・贈与で延長なし
▼その9
NISA開設可能年齢の撤廃
(現行)18歳以上
(今後)0歳~17歳でも可
*購入額
⇒ つみたて投資枠:年60万円まで
(非課税保有上限600万円)
*12歳から引出しOK
↓
↓
富裕層の生前贈与対策チャンス拡大
⇒ 名義預金の認定としての
否認リスクに注意
⇒ 贈与証書の戦略エビデンスが
重要になる
▼その10
インボイス特例(1)
⇒ 2割特例を3割特例にして、
個人事業主のみ延長
⇒ R10年度まで適用
(注)
法人は2割特例の延長なし
▼その11
インボイス特例(2)
⇒ 免税事業者からの仕入れ
⇒ 経過措置の緩和
⇒ 当面の控除割合
⇒ 消費税相当額の70%
(R8年10月からR10年9月まで)
(注)
1つの免税事業者からの仕入れが
年1億円超の部分は適用外
以上、朗報(減税項目)でした。
■悲報(増税)
▼その1
貸付用不動産の相続税対策の封鎖
(現行)相続税評価額
(今後)実勢時価
(注)
課税上の弊害が無ければ、
「取得価額×価格変動率×80%」
の評価OK
*対象:相続開始5年以内
*適用:R9年1月1日以後の相続より
▼その2
小口化不動産の相続税対策の封鎖
(現行)相続税評価額
(今後)実勢時価
(注)
課税上の弊害が無ければ、
「事業者が適正と評価した金額」
もOK
*対象:R9年1月1日以後の相続より
▼その3
同族役員が受け取る利子の課税強化
(現行)分離課税
(今後)総合課税
*対象
⇒ 別法人であっても、
実質的にその同族会社から
受け取るとみさなれる利子
↓
↓
ZOZO創業者の前澤友作氏が
前妻の子供への養育費支払い目的で、
設計した節税スキームが今年7月、
4億円の申告漏れとして、
追徴処分された影響で明文化へ
▼その4
防衛特別所得税の創設
(基準所得税額の1%)
以上、悲報(増税項目)でした。
いかがでしょうか?
上記は、
オーナー経営者&富裕層に
関係する論点のみ、
ピックアップしました。
増税より減税の項目が
多い印象があるでしょう。
本業ビジネスの未来投資のため、
オーナーファミリーの
資産保全のため、
積極果敢に活用チャンスを
検討して下さいね。
今日も社長業を楽しみましょう。