こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループ
税理士法人トップ財務プロジェクト代表
岩佐孝彦@税理士です。
経営の現場においても只今、
「夏季賞与」
のシーズンですね。
“賞”与と言われるぐらいです。
社員の日々の頑張りを賞賛し、
支給してあげたい。
これが経営者としての
親心なのかもしれません。
しかし夏季賞与には、
【信賞必罰】
がなければなりません。
『シャープ再生への道』
著:戴正呉
(日本経済新聞新聞出版)
この著書には、
興味深い記述が書かれています。
シャープの経営危機は2015年から、
深刻の度を増していました。
2016年3月期は1,700億円の赤字。
当時のシャープは希望退職を
2012年、2015年と2回実施。
その結果、
会社の将来に失望した
優秀な人材が次々と流出したとか。
会社経営は綱渡りとなり、
▼販売不振
▼在庫急増
▼調達コスト上昇
という悪循環から巨額の赤字へ。
そんな危機的状況の中で、
新たに社長に就任したのが、
鴻海(ホンハイ)精密工業から来た、
戴正呉(たいせいご)氏でした。
戴社長がまずやったのが、
【社員の給与カットの取り止め】
でした。
新社長就任前の当時、
業績不振の対応策として、
▼一般社員 2%カット
▼マネージャー 5%カット
を実施していました。
ただ戴社長はシャープ再生のために
必要不可欠なのは、
『One SHARP』
という共通の意識を
全社員が持つことだと考え、
給与カットをストップさせました。
ただ賞与については、
信賞必罰の色を鮮明にします。
ボーナスは、
月給の1ヶ月から8ヶ月分まで、
支給額に差を付ける制度導入へ。
業績が黒字化すれば、
四半期に負った責任の範囲や能力、
KPIに基づき、
賞与を決める仕組みとしたのです。
何を学べるか?
解雇権濫用法理が存在する。
そんな日本の労働慣習との
調和をうまく図っている点です。
台湾の鴻海精密工業は、
最大20倍の差が付く制度ですが、
戴社長は日本特有の
「結果の平等」
を重んじながらも、
成果への連動性の高い制度に
変革したのです。
つまり、人事制度の基本理念を
以下の通りに変えたのです。
▼出発点 … 平等
▼原則 … 信賞必罰
何を守りながら、
何を捨てるのか?
台湾人の戴社長が断行した、
シャープ再建手法は
学びになりますね。
今日も社長業を楽しみましょう。